白川英樹筑波大学名誉教授 ノーベル化学賞受賞



 筑波大学名誉教授白川英樹博士が本年度ノーベル化学賞を受賞されました。福井謙一先生以来19年ぶりの日本中の化学に携わる人たちが待ちに待って実現した快挙です。日本化学会としても、およそ30年来の正会員である白川博士に対して心からの敬意と祝福を贈りたいと思います。


 新聞でも報じられておりますように、今回の受賞のきっかけが、助手として奉職されておられた東工大時代に研究指導をしていた学生のちょっとした実験上の手違いに基づいて生起した思いもかけない実験結果であったと、淡々と話しておられます。博士の度量の大きさを感じると共に、どんな実験結果にも誠実に対応してことの本質を見抜く能力を人一倍備えておられたことが、これほどの大きな栄誉につながったものと思われます。


 次代を背負う若い人々の理科離れの傾向が見られるこの時期に、化学には未だ興味の尽きないフロンティアがあることを示して下さった今回のノーベル賞受賞の意味は誠に大きく、化学に関わる者としても誇らしく、また勇気が湧いて参ります。


 博士の今後の益々のご研究のご進展とご健勝を祈念すると共に、今一度お祝い申し上げます。



  The Nobel Prize in Chemistry 2000