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実行委員会企画(中長期テーマ)

はじめに

春季年会では、中・長期戦略に基づくシンポジウムを春季年会実行委員会と学術研究活性化委員会の合同企画として継続的に実施しております。第91春季年会では下記6件を実施予定です。

不活性結合の活性化:直截的分子変換を目指して

企画担当者:茶谷 直人(阪大院工)

これまで有機合成化学者は、目的とする物質変換を行う際にごく一部の反応性の高い使いやすい結合だけを利用してきた。そのため、標的化合物の合成に多段階の変換反応が必要とされることが常であった。しかし最近になって、これまで有効に利用されてこなかった化学結合の斬新な活性化法が次々と開発され、従来法では困難と考えられていた直截的な変換反応が可能になり、また従来とは異なった化学結合の組み替えが行われ、これら手法は有機合成化学の体系を一変させるほどの大きな影響力をもつようになってきている。本シンポジウムでは、最先端でこれら研究を行っている若手研究者を中心に、その最新の成果について紹介していただくとともに今後の展望を語っていただく。

プログラム

座長 茶谷 直人
14:00-14:10 趣旨説明(阪大院工)茶谷 直人
14:10-14:40 芳香族炭素-酸素結合の活性化を経る触媒的変換反応(阪大院工)鳶巣 守
14:40-15:10 炭素-水素あるいは炭素-炭素結合切断を経るカルボン酸類の触媒的カップリング反応(阪大院工)佐藤 哲也
座長 村上 正浩
15:10-15:40 直裁的多置換複素環合成を志向した複素環化合物のC〓H結合直接アリール化反応(岐阜大工)芝原 文利
15:40-16:10 炭素-フッ素結合活性化を利用する分子骨格構築反応(筑波大院数理物質)渕辺 耕平
座長 真島 和志
16:10-16:40 7族遷移金属触媒による炭素-水素および炭素-炭素結合変換反応の開発(岡山大院自然科学)國信 洋一郎
16:40-17:10 協働金属触媒による不活性結合の変換反応の開発(京大院工)中尾 佳亮

プラズモン増強光化学反応-光と物質の新しい相互作用とその光化学反応への展開-

企画担当者:三澤 弘明(北大電子研)

光エネルギー変換システムの高効率化を実現するためには「光子の有効利用」という概念を取り入れた光化学の研究を展開する必要があり、 反応系に投入された光エネルギーを余すところなく利用できる革新的な「光反応場」を構築することが極めて重要となる。 最近になって、金属ナノ構造体への光照射により金属表面に誘起される局在表面プラズモンを利用すれば、光子をナノ空間に束縛し、 また時間的にも閉じ込めることが可能であり、 大きな光電場増強が得られることが明らかにされつつある。このような時間的・空間的に閉じ込められた光子を分子/物質系と結合させる「光反応場」の構築や、それを用いた光化学の研究が、我が国の研究グループより数多く発信されており、世界的にも注目を集めている。本シンポジウムにおいては本研究分野において世界をリードし、第一線で活躍する研究者を招聘して理論・実験・応用に関する最新の研究成果について講演して頂き、全く新しい原理に基づく高効率光エネルギー変換系構築の将来展望を集中的に討論する。

プログラム

座長 村越 敬
13:30-13:35 趣旨説明(北大電子研)三澤 弘明
13:35-14:05 光ナノアンテナを用いた広波長帯域太陽光エネルギー変換システムの構築(北大電子研)三澤 弘明
14:05-14:35 無機ナノ粒子の構造制御による表面プラズモン共鳴波長制御(筑波大院数理物質)寺西 利治
14:35-15:05 光-分子結合制御による微視的エネルギーマニピュレーション(阪府大院工)石原 一
15:05-15:35 金属ナノ構造における光子場の可視化(分子研)岡本 裕巳
座長 寺西 利治
15:35-16:05 規則ポーラス構造によるナノ・マイクロ空間の形成と光電場制御(首都大院都市環境科学)益田 秀樹
16:05-16:35 プラズモン共鳴による電荷分離とナノ粒子の構造制御(東大生研)立間 徹
16:35-17:05 電場増強ナノ構造を用いる光電変換(九大院工)山田 淳
17:05-17:35 局所光電場による単分子の異方電場分極・光励起(北大院理)村越 敬
17:35-17:40 総括(首都大院都市環境科学)益田 秀樹

材料化学構築学に基づく新機能の創出

企画担当者:河本 邦仁(名大院工)

材料化学構築学(テクトニクス)では原子・分子レベルからマイクロ・ミリメートルのオーダーまで、広い空間領域における階層構造を精密に構築し、各階層に特徴的な物性・特性を効率的に引き出し、それらの相乗効果を利用して新規な特性・機能を実現することが目的の一つとなる。 本シンポジウムでは、物理的な外部場や分子間の化学的相互作用に基づいて、原子・分子の配列、メゾスコピック系の形態、マイクロ・ミリメートルレベルの構造を制御するプロセスを提案すると同時に、各階層間のシナジー効果で生じうる新たな特性や機能に関して討論を行う。電気・磁気、光、エネルギー、生体、触媒、構造材料など多様な物性・機能を対象として、材料化学構築学に基づく新機能の創出の可能性を展望する。

プログラム

座長 田中 勝久
09:00-09:05 趣旨説明(京大院工)田中 勝久
09:05-09:35 分極バイオエレクトレットの創製とその表面電場空間内での生体反応制御(東医歯大生材研)山下 仁大
座長 永井 亜希子
09:35-10:05 構造制御されたハイブリッド材料の光機能創出(豊橋技科大)松田 厚範
10:05-10:35 自己組織化によるナノ構造の構築と電磁気・エネルギー機能(九大院総理工)大瀧 倫卓
座長 田中 優実
10:35-11:05 レーザー励起プラズマCVDプロセスによるセラミックス膜の創製(東北大金研)後藤 孝
11:05-11:35 極小固体の連続接合による幾何学パターン造形と特異機能の発現(阪大接合研)桐原 聡秀
座長 大槻 主税
11:35-12:05 組織制御による新規多孔体の構造制御と機能付与(阪府大院工)中平 敦
12:05-12:35 環境応答型微細構造ハイブリッド薄膜の作製と応用(阪府大)高橋 雅英

生物無機化学の最前線-生体関連化学の新たなる挑戦に向けて-

企画担当者:山下 正廣(東北大院理)
齋藤 正男(東北大多元研)

生体金属イオンは、それらを取りまく生体高分子が構築する配位環境によって多様な機能を発現する。呼吸、代謝、光合成、神経・生体信号伝達・遺伝情報伝達、窒素固定等の生物界において決定的に重要なプロセスが、金属イオンとタンパク質や核酸との複合体によってはじめて可能になることはよく知られている。生物無機化学は、その黎明期にはJ. P. Collmanのヘモグロビンモデルに代表されるような、比較的単純なタンパク機能を模倣する金属錯体小分子の設計や合成研究を主流としてスタートし、金属タンパクや生体金属の構造と反応性の解明を中心課題として、著しい進展を成し遂げた。近年では酸素添加酵素をはじめとする金属酵素が関与する複雑な反応機構が解明され、またそれらの機能モデル錯体の創成が行なわれ、更には生体金属の多様な機能発現機構解明さえ可能となり、生物無機化学は「成熟期」を迎えている。最近では、生体信号伝達機構・遺伝情報伝達機構解明などの複雑な生命現象理解に不可欠なツールの創製、光合成・メタンの酸化等を可能にする複合系金属タンパク集合体の解析や、それらのモデル作成などの新展開が見られている。 これらの領域で、独創的研究を展開している我が国の研究グループは世界的に注目を集めている。本シンポジウムでは現在、ホットな生物無機化学研究で世界をリードする研究者を招聘し、最新の研究成果、その意義と将来への展望を講演していただく。この講演を契機として、世代を超えた多くの研究者とともに、今後の化学が目指すべき生物無機化学研究の夢と展望を議論したい。

プログラム

座長 伊東 忍
13:30-14:10 人工光合成のシステム開発(阪大院工)福住 俊一
14:10-14:50 生体系に学ぶ酸素活性化二核金属酵素モデルの分子設計(金沢大理工学域)鈴木 正樹
座長 石森 浩一郎
14:50-15:30 金属酵素機能創成:三つのアプローチ(名大院理)渡辺 芳人
15:40-16:20 光機能性プローブ開発による先進医療開発(東大院医)浦野 泰照
座長 城 宜嗣
16:20-17:00 細胞中の遺伝子制御化学(甲南大FIBER・甲南大FIRST)杉本 直己
17:00-17:40 生物無機化学からさらなる境界領域へ(京大院工)浜地 格

ナノ創成による次世代バイオへの展開

企画担当者:民谷 栄一(阪大院工)

中長期テーマである「生体分子科学の展開(ナノバイオを含む)」では、近年、ナノマテリアルやナノ構造制御により、光や電位などの局所場(ナノ領域)の特性を解析する手法やナノ空間制御された分子複合体/高分子の設計創成が進展しており、これらの成果を用いたバイオ分子の機能解析やその応用が進んでいる。 そこで、関連するトピックスを選び、生体機能関連化学、バイオテクノロジー、分析化学、物理化学、高分子など化学分野の種々の専門家が集結し、ナノやバイオをキーワードに、横断的な討論を期待している。

プログラム

座長 民谷 栄一
09:30-09:35 はじめに-趣旨説明(阪大院工)民谷 栄一
09:35-10:05 核酸塩基分子の単分子識別-次々世代DNAシーケンサーにむけて-(阪大産研)谷口 正輝
10:05-10:35 オーガニックナノチューブの合成とナノバイオ応用(産総研ナノチューブ応用研セ)清水 敏美
10:40-11:10 機能性磁性ナノ粒子を用いた病態分子メカニズムの解明(東工大ソリューション研究機構)半田 宏
11:10-11:40 機能性ナノ界面ゲートバイオトランジスタによる生体分子解析(東医歯大生材研)宮原 裕二
11:40-12:10 ナノプラズモニクスを用いたバイオ解析(阪大院工)吉川 裕之

ケミカルバイオロジーの分子基盤

企画担当者:大船 泰史(阪市大院理)

ケミカルバイオロジーは有機化学の技術・方法論を駆使して生命現象を明らかにする新学問領域である。近年米国では化学を出発点とした生命現象・疾病を理解する、いわゆるケミカルバイオロジーが大きな潮流を生んでいる。しかし、この分野の研究は以前よりわが国が先導してきた分野であり、小分子有機化合物を中心に生命科学研究のツール分子や医農薬開発のリード分子を数多く世に送り出してきた。本シンポジウムではわが国独自の発展が期待される最もホットな小分子生物活性物質をとりあげ、それらに関する研究で世界をリードする研究者を招聘し最新の研究成果とその意義を講演していただく。この講演を契機として世代を超えた多くの研究者とともに今後の目指すべき研究方向と展望を議論したい。

プログラム

座長 有本 博一
09:00-09:10 挨拶(阪市大院理)大船 泰史
09:10-09:40 半田ビーズによるサリドマイド催寄性の原因因子の発見(東工大院生命理工)半田 宏
座長 深瀬 浩一
09:40-10:10 ムギネ酸類の実践的合成を基盤としたオオムギの鉄取り込み機構に関する研究(北大院理)難波 康祐
座長 江口 正
10:10-10:40 ケミカルバイオロジー分子基盤としての脂質二重膜(阪大院理)松森 信明
座長 只野 金一
10:50-11:20 フシコッカンジテルペノイドをリードとした新規抗がん剤の開発(阪大産研)加藤 修雄
座長 谷野 圭持
11:20-11:50 植物の生物現象と天然物ケミカルバイオロジー(東北大院理)上田 実
座長 村田 道雄
11:50-12:20 日本のケミカルバイオロジー(慶大理工)上村 大輔