2.国立大学法人化対策の具体的実施内容

2−1.対策実施のアクションプランの例

  ハード面の事項      ソフト面の事項

2−2.法人化後の安全衛生管理

1) 安全管理組織構築と責任体制の明確化
労働安全衛生法(安衛法)に沿った組織の構築
責任体制の明確化
機能する組織とするため、必要な数の実務担当者を配置
衛生管理のみでなく安全の管理も必要
組織はシンプルにすべき
組織の例
2) 規定類
規定類は以下のような階層構造になると考えられる
就業規則−安全衛生管理規程−マニュアル−作業標準
3) 法規遵守だけでは十分ではない
4) 安衛法により追加される管理必要な事項
衛生委員会開催
教育
健康診断
作業環境測定
定期自主検査
作業場の巡視
計画の届出
報告
化学物質管理


2.国立大学法人化対策の具体的実施内容

2−1.対策実施のアクションプランの例

ハード面の事項
現状調査 規制対象物質、装置、作業状況の調査
現地調査、説明会・対面調査等による
廃棄、使用中止 不要品は出来るだけ廃棄→避難通路等スペース確保
規制対象物質、装置の廃棄→規制対応箇所の削減
3年以上経過した薬品やボンベは、原則的に全て処分等
有害薬品では無害な代替物への変更、使用の集約化も要検討
使用必要 研究上どうしても必要な物のみ規制を遵守して使用
規制の確認(場合により適用除外もある)
対 応 設備対応:局所排気、安全装置、居室と実験室の分離 等
安全な使用のマニュアル化、作業の標準化
有資格者、講習等:必要な資格取得、講習受講 等
届出準備

ソフト面の事項
事業場の単位確認 所轄の労働基準監督署と相談
衛生委員会等の体制作り 事業場の規模による
有資格者の確保 衛生管理者、産業医、作業主任者等
事業場の規模による
特に衛生工学衛生管理者は取得困難
安全衛生管理規程 法の遵守、安全教育テキストの作製、自主管理の実施、
健康診断の実施、環境中の有害物質の測定も必要

                 

2−2.法人化後の安全衛生管理

1) 安全管理組織構築と責任体制の明確化
安衛法に沿った組織の構築
衛生委員会、(総括安全衛生管理者)、産業医、衛生管理者、作業主任者等を配置
(事業場の規模、取扱い物質、装置による)


規模による管理者等の必要人数(大学等)
労働者数 10〜49 50〜200 201〜 499 500 501〜 999 1000 1001〜 2000 2001〜3000 3001〜
総括安全衛生管理者 1
衛生管理者 1 2 3 4 5 6
衛生工学衛生管理者 有害業務30名以上では必要
専任の衛生管理者* 有害業務30名
以上では必要
必要
衛生推進者 1
産業医 1 2
専属の産業医 有害業務500人
以上では必要
必要
作業主任者 該当作業がある場合は必要(試験研究では有機溶剤、特定化学物質は適用除外)

 *法的には第二種衛生管理者で良いが、第一種衛生管理者または衛生工学衛生管理者が望ましい。

責任体制の明確化
管理組織に学長、学部長、研究室責任者などの職制を入れ込むことで責任体制を明確にすると
ともに安全意識の向上をはかる。
機能する組織とするため、必要な数の実務担当者を配置
衛生委員会は調査審議機関であり実行機関ではない。
実務担当者を必要な数付けるべき。安全衛生管理部門を新たに設置しても良い。
企業では環境安全部等が設置されている。
東京大学や東京工業大学では工学系に安全管理室を設置している。
衛生管理のみでなく安全の管理も必要
労働安全衛生法では、大学では衛生委員会の設置、衛生管理者の選任が必要となるが、
安全委員会設置や安全管理者は要求されない。しかし、大学でも爆発や火災の危険を有する物質
や大型装置の取り扱い、すなわち危険物質の取り扱いや危険作業があるため、言うまでもなく、
安全管理を実施し事故防止に努めなければならない。
組織はシンプルにすべき
上述より管理組織は、衛生管理の機能、安全管理の機能を有し、責任体制を表すものが必要なわけ
であるが、 これらの機能毎に別々に組織をつくることは効率が悪く、実際に機能しにくいものとなる。
したがって、1つの組織に集約した方が有効である。
さらに、環境管理、放射線管理についても安全衛生管理と不可分な事項が多いため、これらの管理も
一体化した組織とすることが望ましい。

・組織の例


                      図1 大学における安全管理組織の例

2) 規定類
規定類は以下のような階層構造になると考えられる。
就業規則−安全衛生管理規程−マニュアル−作業標準
・就業規則 就業規則の中に、安全衛生管理規程を尊重しなければならないとの一文を
入れても良い。
・安全衛生管理規程 管理体制・組織や担当者の責務・任務等について定めるものであり、現在の
人事院規則に沿った健康安全管理規程等を、労働安全衛生法適用に沿った
内容に修正する必要がある。
・マニュアル または
 ガイドライン
安全衛生管理の具体的内容を書く。安全教育のテキストとして使用できる。
・作業標準 個々の危険性を伴う作業の安全な実施方法について具体的に定める。
マニュアルに入れ込んでも良い。個々の研究室や作業者が作成しても良い。
・学生については、安全衛生管理上は職員と同等の扱いをすることを安全衛生管理規程に記載すべきである。
参考:東京工業大学の化学物質管理関係の規則 (安衛法も考慮されている。)
3) 法規遵守だけでは十分ではない
法規を遵守することは当然必要であるが、法規は最低限の安全衛生管理内容の規定でしかないので、
法規遵守のみの安全管理では不十分であると考えなければならない。
特に、大学は人材教育の場であるので、模範的な安全衛生管理体制のもとで、教育を実施することにより、
学生が安全衛生管理のあるべき姿を体得できる環境を提供することは大学の責務であるといえる。
さらに留学生の教育もおこなっていることを考慮すると、国際的にも通用する世界の範たるレベルの安全
衛生管理を実施すべきである。
各事業場の特性に合わせ、潜在危険を把握し対策を実施することで、労働災害や事故を未然に防止する
自主的活動が必要である。例えば、学内の規定においては、法規よりも基準を厳しくすることなどが必要に
応じおこなわれるべきである。
労働安全衛生の分野においても、自主的な安全衛生活動を促進することで労働災害の潜在的危険性の
低減をはかり安全衛生の水準を向上させる手法として、労働安全衛生マネジメントシステムについての
指針が出されている(労働省告示第五十三号、平成11年4月30日)。
4) 安衛法により追加される管理必要な事項
労働安全衛生法により追加される管理事項のうち重要と思われるものを以下にあげる。これらが継続的に
漏れなく実施、管理される必要がある。
・衛生委員会開催:月1回以上(安衛則第23条)
・教育:雇入れ時、作業変更時、特別(安衛法第59条)
 少なくとも作業、取扱う物質に内在する危険について、作業する者全てが知っている状態とすべきである。
・健康診断:有害業務(有機溶剤、特定化学物質業務等)では一般の検診に加え業務に応じた健診が必要
 (6ヶ月以内ごと、安衛法第66条)
・作業環境測定:有機溶剤、特定化学物質業務では必要(測定の資格要)(安衛法第65条)
*作業環境測定士試験以外で資格が認定される件について  (H16.4.2追加)
・定期自主検査:ボイラーその他の機械等(局所排気装置、第1・2種圧力容器も含まれる)は定期的に
 自主検査が必要(安衛法第45条)
・作業場の巡視:衛生管理者は週1回、産業医は月1回
・計画の届出:ボイラー、局所排気装置、第1種圧力容器などを機械の設置、移転、変更する場合は
 工事開始日の30日前までに届け出必要。(安衛法第88条)
・報告:所轄労働基準監督署長へ提出(法第100条、則第96条、第97条、)
@総括安全衛生管理者衛生管理者及び産業医の選任報告
A一般定期健康診断結果報告(労働者50人以上の事業場)
B特殊健康診断結果報告(有機溶剤特定化学物質電離放射線 等)
C事故報告(火災、爆発、高速回転体の破裂、圧力容器の破裂等)
D労働者死傷病報告 (休業4日未満   死亡及び休業4日以上)       リンク H16.4.6更新修正
・化学物質管理: 法令に準拠し、的確に安全衛生管理をおこなうためには、使用化学物質と
 その危険有害性情報を的確に把握する必要がある。MSDSの活用は有効である。
 また、製造等禁止物質、許可が必要な物質、新規化学物質の使用、および、変異原性が
 認められた化学物質の取扱いでは注意が必要。